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12月29日

ポルト市内観光ののちナザレへ

 今日は午前中にポルトの市内観光が予定されている。ホテルで朝食をとり、出発までには時間があったので、それまでの間に朝のポルトの街を散策することにした。

■ まさか!信じられないハプニングにびっくり

CIMG2093  ホテルに面したサンタ・カタリーナ通りは、昨夜とはうって変わって人も少なく、落ち着いた雰囲気だった。はじめに、建物の一面が見事なアズレージョで飾られたアルマス教会の前まで行く。サンタ・カタリーナ通りの中心にあり、祭壇画をそのままアズレージョにしたような教会の外壁には目を見張った。

 その後、市場を訪れて店を見て回る。野菜や肉、魚介類など生鮮品はもちろんのこと、チーズ、ハム、パンなどの食料品とともに、生花や造花、みやげ物屋もあった。買い物に来る女性客をねらって営業しているのか、美容室まで市場の中にはあった。せっかくなのでみやげ物屋で小物を買って、市場を後にした。

CIMG2099  市場を出て、ポルトの市庁舎へ歩いて行く。ポルト中心地のリベルダーデ広場にある市庁舎は、人口22万人のポルト市民の生活を支える中心である。細長い広場には企業や銀行などポルトガルの主要企業のオフィスが軒を連ねている。ポルトは1996年に歴史地区としてユネスコの世界遺産に登録されているが、ポルトガル北部の経済都市としての活気も感じられた。


 市庁舎の前で記念写真を撮り、朝早く人影もまばらな広場を歩いて、アズレージョが美しいとガイドブックに出ていたサン・ベント駅の方角へ歩いた。広場に面した古いビルの1階にはマクドナルドが店を構えていた。あのおなじみのマックの看板は世界共通だが、中をのぞくとアールデコ風のステンドグラスが飾られており、歴史地区にすっかりとけ込んでいた。

CIMG2103  マックの店の前に日本人のツアーの一行がいた。そのなかに、なんと、東京で机をならべて仕事をしている同僚の女性の顔があったので、飛び上がるほどびっくりした。おそるおそる声をかけると、あちらも同じように信じられないというような顔をして驚いた。彼女もまた、私たちと同様に夫婦で旅行していたのだった。別の旅行会社のツアーで、昨日、スペインからポルトガルに入り、1月4日に日本に帰国するのだという。

 まさかヨーロッパさいはての国のポルトガルで、しかも、ポルトの街でばったり会うとは思っても見なかった。何という偶然なのか。はじめ顔が見えたときは、何でこの人がここにいるのか?という疑問よりも、ここはどこなのかと考え、まるで東京にいるような不思議な錯覚に陥ったのだった。
 その後、彼女たちのツアーにくっついて、サン・ベント駅の壁一面に飾られた美しいアズレージョの前で、おたがいに夫婦同士で写真を撮り合ったりしたが、私たちのツアーの集合時間が近づいてきたので、ホテルへと引き返したのだった。

■ ポートワイン工場で「怪傑ゾロ」に出会った!

CIMG2116  9時半になってホテルの前からバスに乗って市内観光に出かける。今日はナザレまで移動するので、スーツケースもすでにバスに積み込んであった。ポルトでの案内のため、地元在住の年輩の女性ガイドが同行した。ただ、彼女は英語しかしゃべれず、そのうえ、喉がかれて大きな声が出ないそうで、しきりと、”I can’t speak.”と恐縮していた。実は、彼女はクリスマスの聖歌隊をしているそうで、どうやら聖歌を唄いすぎたらしい。

CIMG2125  はじめに、ポルトのカテドラル(大聖堂)を見学する。バスから降りると、雨がぽつぽつと降り出した。世界遺産「ポルトの歴史地区」の中心でもあるカテドラルは、ポルトの街を流れるドロウ川を見下ろす丘の上に建っている。丘からは赤い屋根に彩られた旧市街を見渡すことができた。カテドラルの内部は、礼拝堂や回廊などいたるところにアズレージョで装飾がほどこされており、独特の青色が美しかった。

CIMG2119  さらに丘を上がり、サン・フランシスコ教会を訪れた。金箔張りの像が美しく、全体で600キロの金が使われているのだという。アズレージョとは違った豪華さを感じた。
 歴史地区をぬけて、ポートワインの工場への見学にむかった。観光客がたくさん来ていて、案の定、朝お会いした日本のツアーのみなさんも先に工場に来ていた。ガラス越しに同僚の彼女の姿も見える。見学では、まずはじめにビデオを見て、ポートワインの何たるかを教えられる。もちろん解説は日本語が用意されている。その後、工場を見学したあと、ようやくお目当てのワインの試飲となる。

CIMG2142  ポートワインは、一般のワインとは違って、発酵の途中にブランデーを入れるのが最大の特徴で、試飲では、赤ワイン、白ワインが次々と出てきて、ポートワイン独特の風味を味わわせてもらった。50年以上も熟成された、いわゆるビンテージ物もあるそうだが、とても手の出せそうな値段ではない。
 この工場で製造されるワインは「サンデマン」というブランド名で世界的にも有名だが、そのマークになっている黒マントにシルクハットをかぶった「ドン」に扮した男性が笑顔で話しかけ、訪れた見学者をなごませる。まるで怪傑ゾロのようだった。写真を撮ろうとすると、突然、「5ユーロもらうよ!」とまじめな顔で言われてびっくりしたが、それを見て彼がニヤリと笑ったので、すぐに冗談であると気づき、ツアー一同、大笑いしたのだった。

CIMG2140  サンデマンのワイン工場の見学を終え、レストランまで歩いて昼食となる。すでに試飲でいただいたポートワインでほろ酔いになっていたが、レストランでもビールを飲みながら地元名物のタコ雑炊をいただく。レストランといっても、日本の居酒屋のようなところで、狭い店に押し込められ、みんな肩を寄せ合うように座っていた。店内の壁や天井を見ると、古時計や昔の写真などが所狭しと飾られていた。ポルトガルのサッカーチームのユニホームや、ワールドカップの南アフリカ大会で世界に名が知れた「ブブセラ」まで壁に掛けてあった。

CIMG2157  タコ雑炊は、6人分をひとまとめにして大きな皿に盛られて出てくる。私たちのテーブルは、とても全部食べきれずに少し残した。デザートにはチョコレートとケーキが出てきて食事は終わりとなる。聖歌隊の女性ガイドとはここで別れて、13時半にバスに乗り、ポルトの市街地をあとにして、次の目的地であるナザレへとむかった。


■ 田舎町の雰囲気がただようナザレ

CIMG2166  ポルトから220㎞の移動の後、16時半にナザレにようやく到着した。リゾート地らしく海岸沿いには多くの住宅が建っており、それらを見渡せる丘の上の展望台に上がってナザレの街をながめた。
 シーズンオフとあって、白い波の押し寄せる美しい砂浜の海岸には人影はなかった。おそらく夏のバカンスの時期には、たくさんのヨーロッパの金持ちたちが押しかけてくるのだろう。丘の上には、ノッサ・セニョーラ・ダ・ナザレ教会とメモリアル礼拝堂がある。

CIMG2175 教会には入口に物乞いの男性がいて、風貌が少し恐そうで近寄りがたかったので、教会には入らず、小さな礼拝堂の中を見に行った。

 先日訪れたファティマと同じように、ここでも聖母マリアの奇跡が伝えられており、1182年にナザレの城主が狩りの最中に崖から足を踏み外したとき、突然、マリア様が現れて、崖から落ちるのを救ったのだという。そのお礼に、城主はここに礼拝堂をつくったのだそうだ。その後、1377年になって教会が建てられている。

CIMG2172  礼拝堂の中には、正面にキリストが祀られており、狭い階段をおりて地下室にいくと、右側の窓から海岸線が見られ、左側の壁にはめられたガラスのむこうに、キリストに乳を与えるマリア像があった。建物の裏手には、奇跡の言い伝えを表現したアズレージョが飾られていた。

 丘を降りて、ナザレのプライア地区の繁華街にあるホテルには、17時半に到着した。リゾートホテルらしく、こぎれいな土産物屋がならんでいた。荷物を部屋に置いて、夕食までの間、ホテル付近を散策する。大きな通りや高い建物はなく、街の雰囲気は、いかにも田舎にやってきたという感じがした。通りの両側には白壁の質素な家が並んでいた。

CIMG2178  目抜き通りを少し入ると、商店街になっていて、若者たちが店に出入りしていた。クリスマス休暇を使ってコインブラあたりから学生たちが来ているのだろうか。夕暮れがせまる街には活気があった。
 ホテルのレストランでは、夕食にナザレの名物だというイワシの炭火焼きがでてきた。名前の通り、尾頭付きのイワシの丸焼きが3匹そのまま皿に盛りつけられただけで、まずくはないがとびきりおいしいというわけでもなく、一言で言えば田舎料理というナザレらしい「名物」を味わったのだった。


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