9月9日 アビニヨン近郊を散策

CIMG5838  アビニョンの空はきれいに晴れていた。朝一番のニュースは、全米オープンテニスの決勝戦で錦織選手が惜しくも負けたことだった。

 8時にホテルをバスで出発し、「天空の村」ゴルドにむかう。ガイドは昨日につづいてユキコさんだ。はじめに1148年に修道院がつくられセナンク修道院を訪ねる。ラベンダー畑がひろがる修道院には、今も8人の修道士が修行している。私たちは外からロマネスク洋式の建造物を眺めるだけだったが、ドイツから来たらしいお年寄りの団体が、私たちを通り越して修道院に入っていった。中に入れるのなら、せっかくここまで来たのだから、見学させて欲しかったのだが、その時間的余裕はなかったのが残念だった

■こまごまとしたミニ観光地を忙しくめぐり歩く

PIC_0228  10時前にゴルドの街に到着する。ちょうどマルシェが開かれていて、地元の人や近隣の街から来た人々たちでにぎわっていた。1時間ほどの自由時間がとられて、マルシェを散策する。テントが張られた店では、チーズや野菜、お菓子などの食料品、生花、衣料品、絵画なども売っていた。ハチミツを売っている店があり、さまざまな花から採取されたハチミツを味見してみて、店の女性に熱心にすすめられて1つだけ買い求めた。

CIMG5874  少し歩くと大きな水車があって、水力を利用して紙漉(すき)をしているそうだ。水車には「紙の博物館」が併設されていて、紙をどのような行程でつくるのかが丁寧に解説されていた。カラフルな包装紙や、紙製品を売っている。

 11時前にバスに乗り込んで、次の観光地フォンテーヌ・ドゥ・ヴォークリューズへむかう。ここには、毎秒90立方メートルもの水が湧き出る世界最大級の湧水量を誇る「ヴォークリューズの泉」がある。水源地まで、川沿いの道を歩いて歩く。道の脇には土産屋やレストラン、カフェなどがずらっと並んでいて、訪れる観光客も多かった。

CIMG5870  フォンテーヌ・ドゥ・ヴォークリューズには、現在、13個の水車が回っているが、かつては60もの水車が活躍していたそうだ。昔は、アンティークの店がずらっと並んでいたらしい。

 ソルグ川の支流が街を取り囲んでいて、「プロバンスのベネチア」とも呼ばれている。眺めは美しく、天気も良かったのだが、これといって見学するような所もなく、しかも、訪れる予定にしていた教会は閉まっていて、結局は街中をみんなでぞろぞろと歩いただけで、30分ほどでバスに戻ってきた。残念ながら、まったく意味のない観光だった。

CIMG5877  天使の教会で知られるシャトーに立ち寄って昼食をとる。現地ガイドが、バスからレストランまでの道をまちがえたことで、大幅に時間をロスして、昼食にありつけたのは13時をとおに過ぎていた。ガイドとしては失格だ。おなかが空いていたので、女性の日本人ガイドにいささか腹が立った。

 レストランは6人テーブルで、女性が5人、男性は私ひとりだけとなった。女性の間で会話が弾み、世間話から始まって話題は今回のツアーの評価におよんだ。みなさんの感想を聞くと、自由時間が短く、日程が忙しいことを不満に思っていたようだ。10分くらいの自由時間をとっても、あせってしまって結局なにも考えられないという意見や、朝が早くて、せっかくの連泊の意味がないという声や、今日のように、いろいろな場所に立ち寄りすぎCIMG5880 て、一つの観光地をゆっくりと楽しめないという意見もあった。わたしはひたすら黙って愛想笑いするしかなかったが、同感できるところは多数あった。

 遅い昼食のメニューは、ふわふわのケーキのようなものにサーモンのかけらが入っている前菜、チキンとポテトなどが出てきた。デザートは、ごく一般的なティラミスだった。昼食後、シャトーの上まで上がり景色を見物した。14時45分にバスで出発し、ワイナリーへとむかった。

■雷のとどろくなかあやうくずぶ濡れに

CIMG5889  あたり一面にはるか彼方までつづく広大なブドウ畑のなかを走った。背の低いブドウの木には、すでにブドウがたわわに実っていた。モン・ルドンのワイナリーには15時に到着した。1時間ほどブドウ工場を見学したあと、ワイナリーをあとにする。

 この日はとても暑い日で、外気温は30度を超えていた。バスのなかはサウナ状態だった。17時にアビニヨンのホテルまで帰ってきた。2泊目とあって、今夜の夕食はそれぞれで自由にとることになっていた。18時30分にホテルを出て、まずは買い物にでかける。街の中心地にある土産屋に入り、地元の人形を買った。38ユーロと少し高価だったが、妻は気に入ったようで2体買い求めた。

CIMG5897  土産屋を出たあたりから空模様が怪しくなり、遠くで雷が鳴り始めた。傘をおいてきたので、とりあえずホテルまで引き返すことにした。ホテルにたどりつくやいなや、音をたてて雨が降り出した。8時頃になると雨は小やみになったので、ふたたびホテルを出て、近くのレストランに入った。

 サラダとピザをたのみ、ビールの大ジョッキと小ジョッキがあったので、メニューの大の方を指さすと、店員の女性が「大きいの」と日本語で返してきたのでびっくりした。この店には、先ほどまで大勢の日本人観光客の団体が入っていた。おそらく日本の旅行者が団体でよく利用するのだろう。だから、彼女も片言の日本語が使えるのかもしれない。約30ユーロの勘定をクレジットカードで支払いをすませると、帰り際にふたたび「ありがとう、さよなら」とあいさつしてくれた。