20世紀の最後の年に、わたしたち夫婦は、京都に住む父母をいざなってシンガポールまで旅行にでかけた。すでに両親とも他界してしまったが、これがはじめての父母との海外旅行となった。
そのころ畑仕事に精を出していた父は、まだまだ元気があふれていて、いろいろ見てやろう食べてやろう買ってやろうと意欲満々だったが、一方、母は足の具合が良くなく、あちこち歩き回るのも苦労するほどだった。
それでも二人ともシンガポールからお隣のマレーシアに渡り、さらに、セントーサ島やナイトサファリなどあちこちを精力的に回った。行く先々の料理もおいしく、両親ともに楽しんでくれたのではないだろうか。
シンガポールは街にゴミひとつ落ちておらず、大変に美しいことで有名だが、その美しいシンガポールが2020年のいま、新型コロナウイルスで大きな被害にあっている。たくさんの犠牲者も出ている。観光を産業とする国にとっては、これほどの打撃はないだろうと心配している。
コロナ禍が一刻も早く収まって、ふたたびマーライオンの口から勢いよく水が飛び出ることを祈りつつ、20年前のわたしたちの旅をあらためて振り返ってみたい。
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