97年の秋、夫婦でロマンティック街道への旅に出た。これが、結婚してから二人で行くはじめての旅行だった。
結婚してはじめての旅行ならば、すなわち新婚旅行ということになるが、そう言うのも気恥ずかしい年齢でもあったので、少し回りくどい言い方となった。
向かった先は、ドイツのハイデルベルクから入って、ミュンヘンやインターラーケン、レマン湖を走り抜けてパリにたどり着くおなじみのツアーだったが、夫婦二人の思い出に残る楽しい旅となった。
とくに、ライン川からアルプスまで、これから秋を迎える行く先々の景色は美しく、また、ドイツの地ビールやスイスのチーズフォンデュなど各地でいただいた郷土料理も格別だった。それと、各地を回って最後にたどり着いた花の都パリでは、期せずして少し悲しいハプニングも私たちを待ち構えていた。
そんな思い出を、心もとない記憶をたどってまとめてみた。