コルドバ

12月31日 コルドバ~セビリア

 今日は電車に乗って、コルドバまで移動する。荷物をまとめて廊下に出し、朝食を食べ終わってロビーに行くと、ガイドのトニーさんが来ていた。8時30分にホテルを出発し、アトーチャ駅までむかう。空は曇っており、雨がぽつぽつと降り出していた。
アトーチャ駅 アトーチャ駅では、駅舎の中に大きな木が植えられていて、まるで植物園のようだった。10時発の電車を待つ間、構内のみやげ物屋を見て回っていると、かばん屋にスーツケースを物色するツアーの3人家族の姿があった。

■スペインの「新幹線」、AVEに乗ってコルドバへ

 実は、この3人のスーツケースがマドリードまで届かず、いわゆる「ロスバケ(ロスト・バッゲージ)」してしまったのだった。着替えもなく、スペインに来ても同じ洋服ばかりを着ていた。荷物はいつ見つかるかわからず、お土産もたまってくるので、スーツケースを買うことにしたのだろう。気の毒としか言いようがない。はやく荷物が見つかることを願った。

アトーチャ駅ホーム 出発の時間近くになり、改札を入って電車を待つ。直前までどこのホームから出発するのかが知らされず、アナウンスがあると客たちがそのホームをめがけてどやどやと駆け出す。私たちの乗る電車の時間も迫り、ガイドのトニーさんとはここでお別れとなる。

 セビリア行きの列車に無事乗り込んだ。コルドバまでは約400キロ、最高時速300キロを誇るスペイン国鉄の高速鉄道AVEでわずか1時間40分で行ってしまう。乗ったのはトゥリスタとよばれる2等車輌だったが、黄色を基調にした車内のシートはすべて2人がけでゆったりしており、真ん中の1列だけが向かい合わせの4人がけとなっている。クリスマスの休暇中とあって車内はほぼ満席で、子どもも多かった。

AVE客室 車内では、イヤホンとお菓子をサービスで配っていた。イヤホンでテレビや音楽を聴くことができる。列車はすぐに都会から離れ、その後、延々と単調な田園風景がつづいた。空は厚い雲が垂れ込めていた。そんな空の下で、列車は広大なスペインの大地を駆け抜けていった。

 コルドバに到着すると、イザベラさんという女性のガイドが私たちの到着を待っていた。明らかにお腹がせり出しており、近々ご出産らしい。すでに男の子とわかっているそうだ。ちなみに、スペインでは、長女には母親の名前を付け、長男には父親の名前を付けるという風習があるそうで、イザベラさんのおなかの赤ちゃんもお父さんの名前で生まれてくることとなる。

■キリスト教とイスラム教が混在するメスキータ

コルドバユダヤ 小雨が降る中をコルトバの街を歩いて行く。旧市街への城壁をくぐり抜けて入ると、ユダヤ人街となる。街の入口には「YUDAYA」の看板が見えた。レコンキスタ時代のユダヤ人迫害で住民には追放令が出された。

コルドバのユダヤ人街1 迫害を受けたユダヤ人街も今は観光地となり、レストランやみやげ物屋が集中し、94年にはコルドバ歴史地区として世界遺産に登録されている。街角では、4~5人の女性がフラメンコの歌を歌ってにぎやかに騒いでいた。これも、クリスマスの祝いなのだろうか。

メスキータ2 ユダヤ人街を通り抜けて、コルドバ観光のメインとなるメスキータへとへとむかう。「メスキータ」とは「モスク」のことで、785年に後ウマイヤ朝を開いたアブデラマン1世によって建築されたイスラム教の寺院である。しかし、レコンキスタによって13世紀にはキリスト教会に転用され、16世紀には内部に大聖堂が建築された。そんな歴史を経て、イスラム教とキリスト教が混在する寺院は、84年に世界遺産に登録された。前年に訪れたイスタンブールのアヤソフィアも、確かキリスト教とイスラム教の間を行ったり来たりしていたと記憶している。

コルドバメスキータ内部 メスキータの内部は、林立する850本もの円柱と、赤レンガと石を組み合わせた縞模様のアーチが奥まで続いており、トレドの大聖堂のように金銀の豪華な飾りはないが、そのことが静かな落ち着きを感じさせ、大聖堂とはまったく違う荘厳な雰囲気がただよっていた。
礼拝堂の正面にはキリストを描いた巨大な祭壇画が飾られていた。また、トレドの大聖堂と同じく、この教会にも金色に輝く聖体顕示台が置かれていた。

■セビリアで本場のフラメンコショーを堪能

コルドバのパラドールにて  コルドバ旧市街地の観光を終え、パラドールのレストランでの昼食となる。パラドールとはスペインの国営ホテルのことで、国内には90以上のパラドールがあるそうだ。日本で言えば、「国民宿舎」と言ったところだが、スペインのパラドールは高級ホテルであり、外国人観光客の人気も高い。窓外の景色が美しいレストランでは、牛タンのシチューをいただく。とても濃厚でおいしかった。

コルドバ城壁入口

 昼食後はバスに乗って、セビリアにむかう。コルドバからは約140キロもあって、午後はひたすらバスの旅となる。温暖なアンダルシア地方では、オリーブやひまわりの種が作られており、畑がはるかかなたまでひろがっていた。天気も回復し、太陽の光が差し込むと車内は暑いくらいだった。その太陽光を利用したスペインの電力会社MAGTELの巨大なソーラー発電の施設が見えていた。
 夕方にセビリアのホテルに到着する。しばらく休憩した後、ツアーの一行はフラメンコのショーの見学に出かけた。

 フラメンコショーはタパスというスペインのおつまみ風の夕食がセットになっており、ワインを飲みながら男女のダンサーが次々とステージに上がり、情熱的なギターや歌にあわせて、さまざまな踊りを披露するショーを楽しんだ。ショー開始の前には、フラメンコについての解説があり、フラメンコの踊り方や、一つ一つの振り付けの意味を実際にダンサーが踊りながら教えてくれた。

フラメンコ  フラメンコショーは約2時間にわたってつづいた。入れ替わり立ち替わりでダンサーが変わり、そのうえ、疲れた身体にワインが回り、目にした踊りがどんなものだったかを詳しくお伝えすることは難しいが、本場の迫力のある踊りに圧倒されたことは間違いない。最後は、出演したすべてのダンサーやギタリストたちがステージに登場し、にぎやかなフィナーレとなった。

2件のコメント

  1. はじめまして、許と申します。
    今年の年末スペインに旅行する予定です。
    現在AVEのことを困っています。
    一般的にネットで早めに切符を予約ができますが、しかし今までマドリードからコルドバの切符は予約できない状態です。
    黒田様も自分でAVEの切符を予約したでしょうか。
    結構遅めに予約をとるでしょうか?
    アドバイスをいただけませんか。
    ありがとうございます。

    1. 許さん こんにちは

      ホームページをご覧いただきありがとうございます。

      さて、ご質問の件ですが、今回のスペイン旅行はJTBのツアー参加でしたので、宿泊・移動などの手配は、すべてJTBにおまかせしました。

      したがって、AVEの切符の入手方法についてもよくわかりません。

      もしお知りになりたいのでしたら、JTBはじめ旅行会社に尋ねてみられてはいかがでしょうか。

      ご質問にお答えできず申し訳ありませんが、ぜひすてきな旅行になることを期待しています。

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